私がたかの友梨を辞めて今、あなたに本当に伝えたいこと

鏡を見るたびに、ふと、ため息をついていませんか。

かつての私が、そうでした。
重度のアトピーとストレスによる肌荒れに悩み、鏡を見ることさえ苦痛だった日々。
心を閉ざしていた私を救ってくれたのが、母が勧めてくれた「たかの友梨ビューティクリニック」でした。

そこで出会った一人のエステティシャンが、私の肌だけでなく、強張っていた心まで解きほぐしてくれたのです。
「これは単なる美容じゃない。人の人生に寄り添う仕事だ」
そう確信した私は、未経験から猛勉強の末、憧れの門を叩きました。

入社後、技術の神髄を学び、全国トップ30人のマスターエステティシャンにまで育てていただいた、かけがえのない場所。
しかし、12年間走り続けた末に、私はその聖域を自らの意志で離れる決断をしました。

それは決して、ネガティブな理由からではありません。
この記事では、元トップセラピストという立場から一切の忖度なく語る「たかの友梨」の真実、そして私が独立してまで本当に伝えたかった「美の本質」について、誠心誠意お話しします。
これは、あなたの「美のコンパス」を見つけるための、私からの手紙です。

Contents

なぜ私は「たかの友梨」を辞めたのか? – 感謝と、一つの“違和感”

人生を変えてくれた場所への、心からの感謝

私の原点は、間違いなく「たかの友梨」にあります。
右も左も分からなかった私に、皮膚理論から解剖学、そして何よりお客様への「愛といたわり」の精神を叩き込んでくれた場所です。

その「愛といたわり」という理念は、単なるビジネス上のスローガンではありませんでした。
創業者であるたかの友梨さんご自身が子供時代に経験された、複雑な家庭環境での想いに深く根差していることを、私たちは研修を通じて学びます。
だからこそ、その言葉には重みがあり、私たちセラピスト一人ひとりの心に深く刻み込まれているのです。

厳しい研修を乗り越え、お客様の肌に初めて触れさせていただいた時の、あの手の震えを今でも忘れません。
技術コンテストで最優秀賞をいただいた時の喜び。
エグゼクティブ会員様から「あなたに会うと、明日からまた頑張れる」と涙ながらに言っていただいた時の感動。

そこで過ごした12年間は、私の人生にとって何物にも代えがたい、誇りそのものです。
だからこそ、この記事が単なる批判や暴露ではないことを、まずご理解いただけたら嬉しいです。

感じ始めた「美の理想」との微かなズレ

トップセラピストとして走り続ける中で、私はある種の“違和感”を覚え始めました。
それは、会社が提示する「美の理想像」と、お客様一人ひとりが本来持っている「唯一無二の美しさ」との間に存在する、微かなズレのようなものでした。

もちろん、最新の美容機器や洗練された化粧品は、素晴らしいものです。
しかし、それらを駆使して完璧な美を追求することが、果たして本当にお客様を幸せにするのだろうか。
私の役割は、決められた美のゴールへ導くこと以上に、お客様ご自身が自分の美しさに気づき、自信を持つための「翻訳家」になることではないか。

お客様の肌に触れると、言葉にならない心の声が聞こえてくることがあります。
「本当はもっと、自分を大切にしたい」
「日々の疲れから、少しだけでいいから解放されたい」
その声に応えるためには、マニュアル通りの施術だけでは足りない。
もっと深く、一人ひとりの人生に寄り添う必要がある。

そう確信した35歳の時、私は独立を決意しました。
12年間育ててくれた場所への感謝を胸に、組織の枠を超えて、一人の「肌と心の翻訳家」として歩み出すために。

美の聖域「たかの友梨」で学んだ、揺るぎない3つの真実

辞めた今だからこそ、客観的に、そして自信を持って断言できることがあります。
それは、「たかの友梨」が持つ本物の価値です。

1. 世界レベルと断言できる「ハンド技術」の神髄

「技術の“たかの”」という言葉に、一切の偽りはありません。
特に、人の手によるハンド技術のレベルは、世界的に見てもトップクラスだと断言できます。

新人研修では、タオルの掛け方一つから、指先の力の入れ方、抜き方まで、それこそ何百時間もかけて徹底的に叩き込まれます。
それは、いわば肌の“土台”を立て直す作業のようなもの。
筋肉の走行やリンパの流れを解剖学レベルで理解し、ミリ単位で圧をコントロールする。
この foundational な技術があるからこそ、どんな肌質のお客様にも的確なアプローチができるのです。

2. お客様を「お姫様」にする、徹底されたおもてなしの哲学

技術だけではありません。
一歩サロンに足を踏み入れた瞬間から、日常を忘れさせてくれる空間演出。
言葉遣い一つひとつにまで込められた、おもてなしの心。
これらすべてが、お客様を「お姫様」にするための、計算され尽くした哲学に基づいています。

私がエグゼクティブ会員様を担当していた時、あるお客様がこうおっしゃいました。
「ここに来ると、鎧を脱いで本当の自分に戻れるの」
高額な料金には、単なる施術だけでなく、心の聖域(サンクチュアリ)としての価値が含まれているのです。

3. 人を育てる「教育システム」の厳しさと愛情

新人研修の講師を務めた経験から言えるのは、その教育システムの厳しさと、その奥にある深い愛情です。
技術検定に合格できなければ、お客様の肌に触れることは絶対に許されない。
その厳しい基準があるからこそ、お客様は安心して身を委ねることができるのです。

時に挫けそうになる研修生たちを、先輩や上司が全力でサポートする文化も根付いています。
この厳しさと愛情が両輪となって、プロフェッショナルなエステティシャンが育っていく。
この素晴らしい教育システムが、業界全体のレベルを底上げしている側面も間違いなくあると感じています。

トップセラピストだけが知る、高級エステの「光と影」

しかし、どんな世界にも光と影があるように、この華やかな業界にも、お客様からは見えない側面が存在します。

光:お客様の人生が変わる瞬間に立ち会える感動

エステティシャンとして最高の喜びは、お客様の人生が変わる瞬間に立ち会えることです。
長年悩んでいたニキビが改善し、初めて前髪を上げて笑顔を見せてくれた学生さん。
私の施術を受けた後、「自分に自信が持てたから」と、新しい恋に一歩踏み出したキャリアウーマンの方。

肌が美しくなることは、自信につながります。
自信は、その人の表情や佇まい、そして人生そのものを輝かせる。
お客様の肌と心に寄り添い、その方の人生が好転していく様を間近で見られること。
これこそが、この仕事の何よりの「光」であり、やりがいです。

影:売上目標と「お客様本位」の狭間で揺れる心

一方で、企業である以上、売上目標が存在するのも事実です。
お客様に本当に必要なものをご提案したいという想いと、会社から求められる目標との間で、心を痛めるエステティシャンがいることも知っておいてほしいと思います。

新人時代、私は技術に自信を持つあまり、お客様の心の声を聞かずにマニュアル通りの施術をしてしまったことがあります。
その結果、お客様から「あなたの手は冷たい」と、厳しい一言をいただきました。
技術だけでは、人の心は動かせない。
売上を優先するあまり、お客様の「言葉にならない想い」を見過ごしてはいけない。

この失敗が、私の「肌と心の翻訳家」としての原点です。
本当に大切なのは、高額なコースを売ることではなく、お客様の心に寄り添うこと。
この信念を貫くためには、時に組織との間で葛藤が生まれることも、この仕事の「影」の部分と言えるかもしれません。

これからの時代に本当に価値のあるエステの選び方

では、私たちは何を基準にエステを選べば良いのでしょうか。
元トップセラピストとして、これだけはお伝えしたいというポイントが二つあります。

「サロンの看板」より「人の手」で選ぶ時代へ

豪華な内装や有名なブランド名も、もちろん一つの指標です。
しかし、最終的にあなたの肌に触れるのは、一人のエステティシャンです。
これからの時代は、サロンの「看板」で選ぶのではなく、信頼できる「人の手」で選ぶべきだと私は考えます。

本当に信頼できるエステティシャンを見抜くための、具体的なチェックポイントをいくつかご紹介しますね。

  • カウンセリングで、あなたの話を遮らずに最後まで聞いてくれるか。
  • あなたの生活習慣や心の状態にまで、興味を持って質問してくれるか。
  • 施術の前に、その日の肌状態を丁寧に確認してくれるか。
  • あなたの肌に触れる手が、温かく、そして迷いがないか。

これらは、技術以前の、人としての信頼関係を築くための基本です。

あなたの「肌と心の声」を翻訳してくれるパートナーの見つけ方

良いエステティシャンは、単なる技術者ではありません。
あなた自身も気づいていない肌や心のサインを読み解き、「今、あなたの肌と心は、こんな状態ですよ」と優しく伝えてくれる「翻訳家」です。

体験コースなどに行った際には、ぜひこんな質問をしてみてください。
「今日の私の肌を見て、どんなことが分かりますか?」
その答えに、そのエステティシャンの知識や経験、そしてあなたへの想いが表れます。

マニュアル通りの答えではなく、あなたの肌と真剣に向き合った、血の通った言葉を返してくれる人。
そんなパートナーを見つけることができれば、あなたの美容人生は間違いなく豊かなものになるでしょう。

私が伝えたい究極の結論:「美しさは、思い出すもの。」

エステは「魔法」ではなく「きっかけ」

ここまで、エステ業界の光と影についてお話ししてきました。
最後に、私が12年間の経験を通してたどり着いた、たった一つの結論をお伝えさせてください。

エステは、あなたを別人に変える「魔法」ではありません。
それは、あなたが本来持っている美しさを「思い出す」ための、ほんの小さな「きっかけ」に過ぎないのです。

日々の忙しさやストレス、年齢を重ねることへの不安。
そういったもので、私たちはいつの間にか、自分の中に眠る美しさの存在を忘れてしまいます。
エステティシャンの仕事は、その眠っている美しさを、プロの手で優しく揺り起こしてあげることなのです。

あなたの中に眠る美しさを、どうか信じてあげて

この記事を読んでくださっているあなたは、きっと、ご自身の美しさに対して、真剣で、誠実な方なのだと思います。

だからこそ、伝えたい。
私の決め台詞であり、信念でもある言葉です。

美しさは、思い出すもの。

それは、新たに作り出すものでも、誰かから与えられるものでもありません。
あなたの中に、もうすでに存在しているのです。

この記事が、あなたがご自身の美しさを「思い出す」ための一助となれば、これ以上の喜びはありません。
ですから、どうかご自身を責めないでくださいね。

まずは今夜、お風呂上がりに、ご自身の肌を優しく触れてみてください。
そして、心の中で「いつもありがとう」と伝えてあげることから始めてみましょう。
それが、あなただけの「美のコンパス」を見つけるための、最も確実で、尊い第一歩なのですから。

よくあるご質問(FAQ)

この記事を読んで、きっと様々な疑問が浮かんだことと思います。
ここでは、元トップセラピストという立場から、皆様からよくいただくご質問に誠心誠意お答えしますね。

Q: 正直なところ、「たかの友梨」のノルマは厳しかったですか?

A: 「目標」という形での設定は、もちろんありました。
会社として成長を目指す以上、それは当然のことだと理解しています。

大切なのは、その目標をどう捉えるか、です。
数字のためにお客様に無理を強いるのか、それとも、お客様が本当に美しくなるために必要なご提案をした結果として目標を達成するのか。
そこには、エステティシャン一人ひとりの哲学が問われます。
一流と呼ばれるエステティシャンほど、お客様への価値提供を第一に考え、結果として目標を達成している、というのが私の見てきた真実です。

Q: 高額なコースを勧められたら、どうやって断ればいいですか?

A: これは、とても大切なポイントですね。
エステティシャンの心理を少しだけ理解すると、スマートにお断りできますよ。

一番良いのは、「感謝」と「自分のペースで考えたい意思」を、柔らかく伝えることです。
例えば、「素晴らしいご提案をありがとうございます。ただ、私にとっては大きな決断ですので、一度持ち帰って主人(家族)と相談させていただけますか?」といった形です。
その場で即決できない理由を明確に、しかし相手への敬意を忘れずに伝えることで、気まずい雰囲気にならずに済みます。

Q: 「たかの友梨」で、橘さんが最も効果を実感した施術は何ですか?

A: 12年間で数えきれないほどの施術を経験しましたが、もし一つだけ「これだけは受ける価値がある」と断言できるものを挙げるとすれば、それはハンド技術を駆使したオーダーメイドのフェイシャルコースです。

なぜなら、機械では決して届かない、肌の細かな凹凸や筋肉の凝りを的確に捉え、その日のコンディションに合わせてアプローチを微調整できるのは、熟練した「手」だけだからです。
それは、いわば肌の“土台”を根本から立て直す作業。
この土台がしっかりしてこそ、他のどんな施術も活きてくるのです。

Q: エステティシャンという仕事の、一番のやりがいは何でしたか?

A: お客様が物理的に美しくなるのはもちろん嬉しいことですが、それ以上に、お客様がご自身に自信を取り戻し、内側から輝き出す瞬間に立ち会えること、これに尽きます。

「橘さんのおかげで、鏡を見るのが好きになったわ」
そう言って笑顔を見せてくださる時、人の人生に寄り添い、その方の「美しさを思い出す」お手伝いができる、本当に尊い仕事だと心から感じていました。

Q: 独立して、お客様との向き合い方は変わりましたか?

A: はい、大きく変わりました。
組織の一員だった頃も常にお客様第一でしたが、今は「橘紗英」という一人の人間として、より深く、そして長期的な視点でお客様の人生そのものに寄り添いたいと願うようになりました。

会社の看板がない分、すべての責任は自分にあります。
その覚悟が、私を「肌と心の翻訳家」として、さらに成長させてくれていると感じています。

まとめ

12年間お世話になった「たかの友梨」への心からの感謝。
そして、私がそこを離れてまで、どうしてもあなたに伝えたかった想い。

それは、エステは贅沢品なのではなく、現代を懸命に生きる女性が、自分自身を取り戻すための「聖域(サンクチュアリ)」であるということです。
そして、本当の美しさは誰かに作ってもらうものではなく、あなた自身の中に、すでに光り輝く宝石のように存在しているという、揺るぎない事実です。

この記事が、あなたがご自身の美しさを「思い出す」ための一助となれば、これ以上の喜びはありません。

ですから、どうかご自身を責めないでくださいね。
まずは今夜、ご自身の肌を優しく、愛おしむように触れてあげてください。
そして、「いつも本当にありがとう」と、心からの感謝を伝えてあげることから始めてみてください。

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